地獄の沼に架かった天使の梯子

地獄の底なし沼で溺れたまま5年

「この先の人生、今以上辛く苦しいことはない」と確信したあの時

水面の上と下を行ったり来たりしていると

視線の先に天使の梯子が架かっているのが見えた

 

薄明光線とも呼ばれるそれは

その名の通りぼんやりとした並行な筋で

本当にあるのかないのか不確かだった

 

それでも私はその梯子を昇ることにした

一縷の望みなんてものじゃない

気づいたら必死で昇っていた

そんな力がどこに残っていたのかわからないけど……

 

着替えるだけで日が暮れた日もあった

玄関ドアを開けようとした途端に動けなくなった日もあった

家から10m歩いただけで体が勝手に引き返してしまう日もあった

 

激しい動悸で息が乱れる

血の気が引き体中が痺れる

強い不安と恐怖に脳が支配される

 

住宅街と市街地を分けるように流れる道路を渡れず泣きながらUターンした日もあった

建物2階以上には行けなくて1階をうろうろする日もあった

レジ待ちの列に並んでいる間にダメになって商品を置いて帰った日もあった

 

幼かった息子に我慢をさせてしまったことも数え切れない

ファミレスで料理を待つ間に発作が起きた日もあった

遊びに連れて行く途中で発作が起きた日もあった

行事の途中で発作が起きた日もあった

 

行き先は病院の傍だけ

公共交通機関は使えない

遠出はできない

 

短時間の拘束も

少しの混雑も

家族以外と共に行動するのも

出口がわからない建物に入るのも

病院以外の場所も行動も全てが危険で危機的状況

 

予測不能の発作

予測自体が呼び水になる予期不安

始まったら止められない

 

これまでに救急車に乗った回数は片手じゃ足りないし

どうしても避けて通れない予定は注射と点滴を打ちながらこなしたし

情けなく惨めに泣きわめきながら人の中で働いてみたこともある

 

30歳を越えた大人が

幼い子どもを抱えた一人親が

かつて教師だった自分が

 

……プライドや世間体なんて木っ端微塵だった

 

辛い時に思い出すのは

「人間は過換気発作では死なないの!死ねないの!!」

という看護師の言葉

 

いつどの看護師に言われたか思い出せないくらい

錯乱状態の最中に脳に突き刺さった言葉

 

 

天使の梯子は

近づけば近づくほど

昇れば昇るほど

その姿が見えなくなる

 

今、私はどれくらいまで昇ることができたのだろう?

天国まで、あとどのくらいだろう?

 

 

 

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